概要 |
@何について何をする技術なのか?
・硬化したコンクリートに発生したひび割れに対して、CS-21クリアー(コンクリート改質剤)を浸透させ、微細なひび割れ内部を緻密化し自閉効果を促進させ、CSパテ(乾燥硬化型パテ材)を擦込み充填させることで、躯体と一体化し劣化因子の侵入を防ぐ技術である。 従って、補修後のコンクリート構造物は健全化し耐久性が向上され、また、色合わせも可能なので補修跡も目立たなく景観を損なわない技術である。新設・既設コンクリートを問わず補修可能である。
A従来はどのような技術で対応していたのか?
・表面被覆工 ; ひび割れを含む一定範囲に塗膜弾性防水材・ポリマーセメントペースト等にて被覆する工法。⇒各工程(下地処理・ プライマー・中塗り・上塗り)とインターバルを要し時間がかかっていた。雨天時は施工不可である。
・部分補修として、ひび割れや空隙への応急的補修材に目止やシール材等を使用していた。
B公共工事のどこに適用できるのか?
・ひび割れ補修工事として、コンクリート構造物(橋梁上下部工・ボックスカルバート・擁壁・覆工コンクリート・ダム・砂防・建築物・プレキャスト製品等)のひび割れに適用。
CS-21ひび割れ補修セット 物性
@CS-21クリアー | | | ACSパテ | | 主成分 | ケイ酸ナトリウム | | 主成分 | 炭酸カルシウム 酸化ケイ素 ケイ酸リチウム | 外観 | 無色透明 液体 | | 外観 | 灰色 パテ状 | 臭気 | 無し | | 臭気 | 無し | pH | 11.3以上 | | pH | 10.5以上 | 比重 | 1.050以上 | | 比重 | 1.90以上 | 蒸発残留物 | 96000mg/L以上 | | | |  CS-21ひび割れ補修セット |
新規性及び期待される効果 |
@どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・従来技術の表面被覆工は、ひび割れ幅(0.2mm未満)部分やひび割れを含む見栄えのいい一定範囲を設定して塗膜で覆っていた。これはコンクリート表面をケレン後に、プライマー塗布、不陸調整処理、中塗り、上塗りで保護する工法でありインターバルが必要で時間を要した。これに対し新技術は、ひび割れ部をCS-21クリアーの塗布を行い微細部まで浸透させ、さらに、CSパテの擦込みによる充填でひび割れ部のみを短時間で補修する工法に改善した。
・従来技術は有機系材料であるが、無機系材料による補修とした。
・従来技術は、表面保護色が周囲の構造物色となじまないが、新技術は、CSパテが三色(グレイ・シルバー・シルバーホワイト)あり任意の色合わせが可能であるため、補修対象構造物の色に合わせることができる。
・従来技術は、コンクリート面が湿潤している場合は施工不可であるが、新技術は湿潤状態でも施工可能に改善した。
A期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・健全な部分の施工が不要となることと補修工程が少ないので施工時間が大幅に短縮できコストダウンができる。また、ひび割れは、CS-21クリアー塗布とCSパテ擦込みでひび割れ内部を緻密化し空隙が充填されることにより、コンクリート劣化因子の侵入を防ぎコンクリート構造物の耐久性を向上させる。
・無機系材料なので有機系材料に比較して紫外線等の影響にも強く、また環境への負荷がほとんどない補修とした。
・現地のコンクリート色に合わせられ全体的より部分的な補修となり補修跡が目立たなく景観を維持できる。
・ひび割れ補修セットは水溶性であるので天候等に左右されず工期と施工性が向上できる。
 ひび割れ補修 施工事例 |
適用条件 |
@自然条件
・ひび割れおよび近辺が湿潤していても施工可能(流水下は不可)。
・外気温5〜30℃適用(外気温5℃未満及び30℃を超える場合でも養生を行えば適用可能)。
A現場条件
・無機系材料であるので換気・火気の規制はない。
・狭隘部での施工可能。
B技術提供可能地域
・技術提供地域については制限無し。
C関係法令等
・特になし。 |
適用範囲 |
@適用可能な範囲
・コンクリート構造物のひび割れ(新設および既設)。
A特に効果の高い適用範囲
・微細なひび割れ(0.2mm未満)。
・ひび割れの目止めシール材として使用可能。
・補修跡は景観・美観が維持されるため、歩道や車道などの第三者の目に付く近傍。
・湿潤状態で施工できるため、上下水道・水門・堰柱構造物および河川構造物の補修にも使用可能。
B適用できない範囲
・エキスパンジョイント、カンチレバーあるいは不同沈下によるせん断などの応力集中する部分等。
・構造物偶角部の角落ちのひび割れや、繰り返し荷重等で擦磨きによるひび割れ。
・ひび割れ幅の大きい注入工法の代替とはならない。ただし併用は可能である。
C適用にあたり、関係する基準およびその引用元
・特になし。 |
留意事項 |
@設計時
・ひび割れ状況資料が必要あり(必要使用材料の算出を行う)。
・大きいひび割れ幅(0.2mmを超える)の場合には、別途補修方法(ひび割れ注入工等)の併用を検討する必要あり。
・コンクリート構造物のひび割れ幅・深さ・部位・長さ・下地等の状況より補修判断できる技術者が必要あり。
・補修仕上がり色の選定には、ひび割れ補修セットCSパテ色見本シートで検討のこと。
A施工時
・色合わせの場合は、事前に試験施工で確認する。
・下地処理(ケレン・エアーブロア・水洗い)で表面の汚れを掃除する。
・CSパテは、分離している場合均一になるまでよく混ぜて使用する。
・施工は、湿潤状態で表面乾燥状態が効果的である。
・CS-21クリアーが乾かないうちに速やかにCSパテをゴムヘラ・スポンジ等で擦込む。
・コンクリート表面にはみ出したCSパテを固化する前にスクレーパー等で削落し美観を整える。
・ひび割れを中心に幅10p程度CS-21クリアーを刷毛等で塗布する。
B維持管理等
・直射日光の当たる場所や温度が40℃以上になる場所での材料の保管は避ける。
・材料は、-3℃で凍結するが融解後は使用可である。
Cその他
・材料については、MSDS(化学物質安全データシート)を参照のこと。 【別添資料1・2】
・ひび割れ補修セットは、CS-21クリアーおよびCSパテの個別での販売は不可。
・施工に際し、アストン協会より技術者の派遣可能。 |